
コンビニやドラッグストアで気軽に買える制汗剤。脇汗のニオイや汗染み対策としてあなたも利用されていますよね。
でも、制汗剤といいながら実際はどうでしょうか?汗がピタッと止まる商品って、なかなかないと思いませんか?
- 市販の制汗剤って、臭いには効くけど汗は止まらないよね
- ドラッグストアで売られているものは全然だめ
- スプレーは臭いを抑えるだけで脇汗はダラダラ垂れるよ
ネットでもこんな声がたくさん見られますが、ではなぜ市販の制汗剤は脇汗を止めることができないのでしょうか?
ここで対象としている制汗剤は、ドラッグストアやコンビニで手軽に買える国内製品のことを意味します。
市販の制汗剤を使っても脇汗に効かない3つの理由
市販の制汗剤が脇汗に効かない理由
- 制汗剤に使われるアルミニウム成分の違いで効果が変わるから
- 日本の製品は制汗よりもデオドラント重視だから
- 制汗剤の種類(タイプ)によっては効果が半減するから
それぞれ詳しく見ていきましょう。
制汗剤に使われるアルミニウム成分の違いで効果が変わるから

制汗剤が脇汗を抑える仕組みは、上の画像のようにアルミニウム系の成分が働くからです。
ワキの下に塗ったアルミニウムは、汗の水分と反応して水酸化アルミニウムという物質に変化します。
水酸化アルミニウムは皮膚を構成しているケラチンと結合し、角質のかたまりである「角栓」を作ります。
この角栓がフタとなって汗腺の穴をふさぐため、脇汗が抑えられるんですね。
ただ、アルミニウム系の成分といっても以下のように種類があり、それぞれで効果が異なります。
制汗剤に使われるアルミニウム系成分
- 塩化アルミニウム
- クロルヒドロキシアルミニウム
- 焼ミョウバン
この中でもっとも制汗効果が強いのは「塩化アルミニウム」。多汗症の治療薬としても使われる塩化アルミニウムは、濃度にもよりますが本当にピタッと汗を抑えてくれます。
ただ、痒みやヒリヒリ感などの副作用が強いため、肌が弱い人はなかなか使いにくいというデメリットが。
それを改善すべくうまれたのが「クロルヒドロキシアルミニウム」。クロルヒドロキシアルミニウムは、塩化アルミニウムの構造を少しいじったもので、皮膚刺激が少なくて使いやすいのが特徴です。
反面、塩化アルミニウムほどの効果は期待できず、私のように脇汗が多いとほとんど効果は感じられません。
実はドラッグストアやコンビニで売られている制汗剤のほとんどがこのクロルヒドロキシアルミニウムを採用しています。



8×4(エイトフォー)、Ban、Ag+、リフレアなど、誰もが効いたことのある制汗剤は、ほぼほぼこのクロルヒドロキシアルミニウムを主成分としているのです。
だから脇汗を抑える効果はあまり感じられないんですね。
あくまで私の体感ですが、クロルヒドロキシアルミニウムは汗腺の穴をふさぐというよりも、一時的にキュッと引き締める「収れん効果」ぐらいしかないのでは?と感じています。

最後の「焼ミョウバン」はデオナチュレが有名ですね。
ミョウバンは古代ローマ時代から制汗剤・デオドラント剤として使われてきた歴史ある成分。汗腺を引きしめる収れん作用と、雑菌の繁殖を防いでニオイを抑える消臭作用があると言われています。
ただミョウバンもやはり塩化アルミニウムほどの制汗効果はなく、どちらかといえば消臭に強い成分という感じ。臭いは抑えてくれるけど汗は止めてくれないということですね。
このように市販の制汗剤は、ほとんどがクロルヒドロキシアルミニウムか焼ミョウバンを採用しているため汗を抑える効果が弱く、脇汗が多い人だと実感できないわけです。
汗を抑える効果 | 臭いを抑える効果 | |
---|---|---|
塩化アルミニウム | ★★★★★ | ★★★★★ |
クロルヒドロキシアルミニウム | ★★☆☆☆ | ★★☆☆☆ |
焼ミョウバン | ★★☆☆☆ | ★★★★☆ |
あくまで私の体感ですが、アルミニウム成分の効果を一覧表にまとめてみました。
塩化アルミニウムは汗が出ないからワキの下がサラサラであり、その結果としてニオイも発生しないという感じです。
クロルヒドロキシアルミニウムと焼ミョウバンの制汗効果は、正直「気休め」ですね。
日本の製品は制汗よりもデオドラント重視だから

つづいて、市販の制汗剤が脇汗に効かない理由の2つめです。
日本人はどうしてもワキガに対して嫌悪感を持つ方が多いですが、海外ではそれほど気にならないニオイといわれています。
それは、もともと欧米人にワキガが多いこと、脇だけでなくそもそも体臭全体が強いこと、むしろ異性を惹きつけるニオイであること。
このような理由から海外では脇の臭いはあまり気にならないと言われているのです。
ただ、汗の多さで悩んでいる人は多く、そのため海外の制汗剤はニオイよりも汗を抑える制汗効果が重要視されています。
対して日本人はニオイに敏感なので、日本人向けに作ると制汗効果よりもデオドラント効果(=消臭効果)が重視されます。
たとえばこの商品。

もう、公式サイトを見ただけでもこの商品がデオドラント重視だとわかりますよね。
「自分がにおっていないか心配…」こう思う日本人が多いから、消臭効果を打ち出した制汗剤が多いわけです。
そうなると成分の処方も、わざわざ皮膚刺激の強い塩化アルミニウムを入れる必要はなく、制汗効果の弱いクロルヒドロキシアルミニウムで十分。
そのかわり、臭いの原因菌を殺菌するイソプロピルメチルフェノールなどの殺菌成分が必須となります。
この「クロルヒドロキシアルミニウム」+「イソプロピルメチルフェノール」という組み合わせも、国内メーカーの制汗剤ではほぼ ”鉄板” だったりします。

あとこれは完全に私の推測ですが…、やっぱり塩化アルミニウムは効果が強いぶん人によっては副作用もあるので、大手メーカーさんは使いたくても使えないような状況があるんじゃないですかね。
コンビニやドラッグストアで売られていれば誰もが手に入れやすいし、大々的に宣伝もしていますから、当然多くの消費者が使うことになります。
使用する母数が多ければ、それだけ皮膚刺激を感じる人が出る可能性も高くなるわけで…。
企業としてはなるべくトラブルは避けたいですから(もちろん消費者の安全が最優先でしょうけど)、制汗効果はある程度捨ててデオドラント効果を重視、成分も塩化アルミニウムではなくクロルヒドロキシアルミニウムを採用、という状況なのかなと思ったりもします。
制汗剤の種類(タイプ)によっては効果が半減するから

市販の制汗剤が脇汗に効かない理由、3つめは制汗剤のタイプです。
ここでいうタイプとは、スプレーとかロールオンとかの「形状の種類」ですね。
一般的にも、それから私個人の実感としても、スプレータイプは汗で流れ落ちてしまうからか制汗剤としての持続性がありません。
一般にロールオンやパウダーなどに比べるとパウダースプレーの制汗効果は十分でなく、この理由は有効成分の付着率の向上など製剤面での課題として挙げられる。
朝の出勤前につけても、仕事で緊張したりして脇汗をたくさんかけば、成分はどっかいっちゃうような気がします。
ですからスプレータイプは、出先でニオイが気になったときの「応急処置」として使うのが一番。制汗効果に期待してはいけません。
たいしてロールオンの液体、スティックの固形、クリームなどは肌に密着するからか持続性があるような感じ。
もっとも、いちばん最初の理由であげたとおり「塩化アルミニウム」を採用していなければ、ロールオンだろうがスティックだろうが脇汗が多い人にとってはあまり変わりがないのですが。
これで解決♪脇汗を止める制汗剤の選び方
ここまで読んでいただければもうわかると思うのですが、脇汗が多い人の正しい制汗剤の選び方は「塩化アルミニウムを採用しているかどうか?」になります。
「制汗剤が効かない!」と感じているということは、おそらくドラッグストアなどで売られているクロルヒドロキシアルミニウムの制汗剤を使っているはず。
コンビニやドラッグストアで買える制汗剤で塩化アルミニウムを採用しているものは、ほぼないのが現状です。逆に言えば、強力な制汗効果がある製品はほとんどが海外製ということ。
痒みやヒリヒリ感といった皮膚刺激が怖いかもしれませんが、大丈夫。心配いりません。
商品によっては敏感肌用があったりしますし、付け方を工夫することで皮膚刺激を回避することもできるからです。
塩化アルミニウムの制汗剤については以下のページにまとめてありますので、ぜひ参考にしてください。