脇汗 塩化アルミニウム

脇汗の悩みで病院に行き「多汗症」と診断されると、まず提案されるのが塩化アルミニウムという塗り薬(外用薬)です。

ワキの下に直接塗るだけという簡単な治療法でありながら効果はとても高いのですが、そのぶん副作用もあります。

ここでは塩化アルミニウム外用薬についてくわしく解説してみました。

多汗症診療ガイドラインでも一番最初にすすめている治療法

脇汗治療の流れ

塩化アルミニウムがもつ制汗効果は臨床的に認められているため、脇汗の診療においてはまず第一に選択される治療法です。

液体の形をしているため、治療といっても自分でワキの下に塗るだけという手軽さ。

原発性局所多汗症診療ガイドラインでも、「塩化アルミニウム外用療法はまず行ってよい治療である」と推奨されています。


塩化アルミニウムが汗を止めるメカニズム

塩化アルミニウムがなぜ汗を止めてくれるのかを簡単に言うと「汗腺にフタをするから」です。

このメカニズムをもう少し詳しく見てみましょう。

塩化アルミニウムの制汗効果メカニズム

皮膚に塗った塩化アルミニウムは、汗の水分と反応して水酸化アルミニウムという物質に変化します。

水酸化アルミニウムは皮膚を構成しているケラチンと結合し、角質のかたまりである「角栓」を作ります。

この角栓がフタとなって汗腺の穴をふさぐため、汗が抑えられるんですね。

ただフタはずっとそこにあるわけではありません。

人間の皮膚は「ターンオーバー」という機能でつねに入れ替わっているため、フタである角栓も3~5日ほどで自然と排出されます。

ですから、「汗腺にフタをするなんて怖いんだけど…」「無理やり汗を止めちゃって大丈夫なの?」といった心配は無用です。


塩化アルミニウム外用薬のメリット

塩化アルミニウム治療法のメリット

  • 自分で塗るだけという手軽さ
  • 保存的療法であること
  • 効果が数日つづくこと

自分で塗るだけという手軽さ

これは冒頭でも少し書きましたが、塩化アルミニウムは外用薬であり液体の形をしています。

ですから治療といっても、処方された塩化アルミニウム溶液を自分でワキの下に塗るだけなのです。

何度も病院へ通う治療法とは違い、面倒くささがありません。

保存的療法であること

保存的療法(ほぞんてきりょうほう)とは、人体を傷付けない、出血させない治療方法のこと。

切開したり何かを切除するような外科的な治療ではないので、入院の必要もないし体への負担も少ないというメリットがあります。

もちろん手術のように傷跡が残ることもありません。

効果が数日つづくこと

塩化アルミニウムは汗腺に働きかけるので、脇汗への効果は3~5日続きます。

よくある制汗剤だとお風呂に入れば取れてしまいますが、塩化アルミニウムは入浴しても問題ありません。


塩化アルミニウムには副作用やデメリットもある

こうして見ると塩化アルミニウム外用薬は良いことばかりに思えますが、効果があるということは副作用もあります。

その副作用とは、痒みやヒリヒリ感といった皮膚刺激です。

特に痒みは多くの人に起こりやすく、「効果は高いけどワキの下が痒い…(汗)」というジレンマが。

そのため病院によっては、かゆみ用の軟膏を合わせて出してくれるところがあります。


塩化アルミニウム外用薬は保険適用外

塩化アルミニウム 保険適用

病院で処方される塩化アルミニウムですが、実はこれ、保険がききません

塩化アルミニウム外用薬は今のところ保険診療として承認された製剤(名前が付いてパッケージ化されたもの)が存在しないのです。

そのため病院では「院内製剤」を処方するか、あるいは仕入れた「医療用の制汗剤」を処方する、といった形をとっているため費用は実費となってしまうのです。

「えぇ~、病院へ行って実費とか意味ないじゃん」と思ったあなた。

そうなんですよね。。。製剤がない以上、保険がきかないのはどうしようもありません。

ただ!

病院が仕入れている医療用の制汗剤は、実をいうと一般市場にも流通しているため個人で購入することが可能なんです。

どうせ病院へ行っても実費なら、自分で購入したほうがよっぽど楽だと思いませんか?

この医療用制汗剤については、以下のページで詳しくお話しています。

病院でも仕入れている制汗剤パースピレックス(デトランスα)について