
汗とニオイの問題を考えるとき、必ず出てくるのが「ワキガ」の悩み。それだけ深刻な悩みであり、インターネットでもたくさんの解説サイトが見つかります。
あなたもすでにいろいろな情報を目にしてきたと思いますが、当サイトでも改めてワキガの基本をまとめてみました。
他サイトよりもなるべくわかりやすく、そしてくわしく解説していますのでぜひ読んでみてください。
ワキガとは?

ワキガは正式名を「腋臭症(えきしゅうしょう)」と呼び、ワキの下から独特な匂いを発する体質です。
アポクリン腺という言葉を聞いたことがあると思いますが、このアポクリン腺からの汗が直接的な原因となって匂いを発するのです。
通常、私たちが暑いときにかく汗はエクリン腺から出る汗で、これはほとんどが水分なので単なる「汗臭さ」で終わります。
ところがアポクリン腺から出る汗にはタンパク質や脂肪、尿素やアンモニアなどさまざまな成分が含まれているため、あの独特な刺激臭を発してしまうのです。
ただアポクリン汗は出た直後はほとんどニオイがしません。それを強いニオイに変えるのが皮膚に存在する常在菌の働きです。
ワキガの原因はアポクリン腺からの汗を常在菌が分解するから
私たちの肌には「皮膚常在菌」という微生物が住んでいて、汗や皮脂、古くなった角層(いわゆる垢のこと)を栄養源としてフローラを形成しています。
腸内フローラという言葉を聞いたことがあるでしょう。たくさんの菌が腸の中で活動することで私たちの体は健康を維持できるのですが、これと同じようなことが皮膚の上でも行われているのです。
まず、皮膚常在菌は皮脂を分解して「脂肪酸」という酸性物質をつくり、肌の表面を弱酸性に保ってくれます。
肌に悪い菌の多くはアルカリ性の環境で活性化するので、弱酸性の皮膚では生きていけません。
つまり肌表面を弱酸性のベールでおおうことにより、雑菌から肌を守ってくれるわけです。

また汗や皮脂を分解することで「天然保湿因子」という肌のうるおいに関係する物質も作ってくれます。これはいわば、天然の乳液のようなものですね。
こうした皮膚常在菌の活動により、私たちの肌は悪い菌を排除したりみずみずしい肌を保ったりという、いわゆる「バリア機能」を維持できるのです。
ここまではワキガの人も、ワキガじゃない人も関係ありません。常在菌によるバリア機能はみんなの肌にそなわっているからです。
ところが、ここにアポクリン腺からの汗がくわわってしまうと事態は深刻に。

先ほども書いたようにアポクリン腺から出る汗にはタンパク質や脂肪、尿素やアンモニアなどさまざまな成分が含まれています。
ですから通常の汗にくらべて常在菌による分解臭が強いし、ワキガじゃない人とはニオイの種類も異なるのです。
ワキガではない人だとアポクリン腺からの汗は出ないので、あの独特な匂いはしません。せいぜい汗臭いか、ちょっとした体臭で片付けられます。
しかしワキガの人はアポクリン腺が活動していますから、この汗を常在菌が分解することで鼻を突くような刺激臭がしてしまうのです。
ワキガのにおいはどんなニオイ?種類や個人差について
では、ワキガ独特のにおいとはいったいどのようなものなのでしょうか?
これまでの研究により、ワキガのにおいは大きく次の3つに分類されています。
- 硫黄様臭
- スパイシー臭
- ぞうきん様臭
ただネットを見ているとこの3つだけではなく、もっといろいろなニオイを感じている方が少なくありません。
例えば、
- 鉛筆の芯の匂い
- ネギの匂い
- クミンの匂い
- 劣化したプラスチックの匂い
- お惣菜の匂い
このようにたった3種類ではなく、さまざまな匂いがネット上には書き込まれています。私自身も鉛筆やネギの匂いというのがピンときますし、実際に嗅いだことのある匂いですね。
どうしてワキガのニオイにはたくさんの種類があるのでしょうか?
これは人によって皮膚常在菌の組成が異なるからと言われています。
先ほど「皮膚常在菌によるバリア機能はみんなの肌にそなわっている」と書きましたが、常在菌の種類や数は体の部位によって違うし、もっと言うと人によっても異なります。
常在菌の種類や数が異なれば発生する分解臭も異なるわけで、ひいてはワキガ臭、そして体全体の体臭にも個人差がうまれるわけです。

たとえばですが、香水は付ける人によって香りが微妙に異なります。ビンに鼻を近づけて嗅げば同じ匂いですが、体に付けた途端に個人差がうまれるのです。
これはまさに体臭が異なるからに他なりません。常在菌の違いが体臭の違いをうみ、そこに香水の香りがブレンドすることで ”その人だけの香り” が出来上がるからです。
ワキガも同じで、常在菌や汗・皮脂量の個人差がニオイの違いをうみだし、鉛筆の匂いだったりネギの匂いだったりになるわけですね。
ワキガと多汗症は違う
当サイトは脇汗に悩む方のためのサイトですが、ここでよく誤解されがちなことに触れておきます。
それは、脇汗が多いからといって必ずしもワキガではないということ。多汗症=腋臭症ではないのです。※多汗症と腋臭症を併発しているケースはあります。
先ほどから何度も書いているとおり、ワキガはアポクリン腺からの汗が原因です。
あなたがもし脇汗が多くてニオイが気になるとしても、それがエクリン腺からの汗臭さであればワキガではありません。

ただ当然ですがワキの下をじっと眺めても、アポクリン腺から汗が出ているかどうかはわかりませんよね?それにニオイというのは目に見えないですから、不安になるのは当然です。
いちばん確実なのは病院で客観的に診断してもらうことですが自分で判断する方法もあります。
以下のページでワキガのチェック方法をまとめていますので、ぜひこちらも合わせてご覧ください。